手紙 (著)東野圭吾

  • 2008/02/24(日) 15:07:30

手紙 (文春文庫)手紙 (文春文庫)
(2006/10)
東野 圭吾

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犯罪加害者にも様々な人間がいるし、様々な理由で犯罪−この「手紙」場合は強盗殺人−を犯してしまうのだろう。「犯してしまう」という表現は適当ではなく、犯したくて犯したという場合もあるだろうが。がしかし、

この「手紙」に描かれるのは、犯罪加害者である兄、剛志と、突然兄が犯罪加害者になってしまったことから過酷な人生を送らざるを得なくなった弟、直貴の、それぞれの人生と思いである。兄は弟を思い、しかし弟も兄の犯した罪に、そしてそれによって打ち砕かれる彼の人生に絶望する。

私は直貴の人生に思いを馳せる。立ち直りを見せては無為になっていく彼の人生は、賽の河原を思い起こさせる。少しばかり良くなっては、また駄目になる。その繰り返しは、ある意味東野 圭吾の”お得意のパターン”であるが、この「手紙」においては、とても効果的で、またかと思いつつも負のスパイラルに嵌りこんでいく直貴に同情するとともに、剛志に憤りを覚えるのである。なぜなら、自らが犯した罪は一生償えないとしても、たとえば服役して自分を見つめ直して反省することはできる。だが、家族にとっては、いったい何を反省しろというのか。何を償えというのか。犯罪者の家族を持つことを恥に思えば、不利益を被ることはないのか。そうした疑問に、答えられる者はいない。

私の人生は犯罪とは縁遠い。罪を犯すのも犯されるのも、できればずっと避けて通りたい。だが、もし、私の家族が犯罪者になったとき、私には赦すという気持ちが起きるのだろうか。あるいは、家族の罪を罪として受け入れ、それでもなお家族として愛せるのだろうか。愛したいし、愛すべきだとは思う。しかし、再生の物語は、そんなに簡単ではない。

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