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その日の前に (著)重松 清
- 2007/01/28(日) 00:38:02
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おそらく子供を持つ前に読んでいたら、心を動かされることも、それほどはなかったであろう。しかし、自己を投影する材料が揃っている中で、この短編集に収められた物語は、私の心を大きく揺さぶった。それは「死」を扱っているからだ。そして人の死にも、それなりに遭遇してきた今だからこそ、自分をその死にゆく者たちに重ねることができるのである。
この小説は、単に泣けるかどうかを焦点にしていては、理解が浅くなる。自分ならその状況におかれたときどうするか、それを突き詰めていくことで、誰にも必ず訪れるとは言え、あまりにも突然かもしれない「死」に対しての自己の考えを振り返ることになる。
確かに「その日の前」で止めておけば良かったのではないかという思いはある。無理に統合する必要の無い話に、敢えて繋がりを持たせたかった著者の意図は、残念ながら私には汲み取ることはできなかったが、それでも個々の物語の持つ重みは、充分過ぎるほど私の心に響いた。それは明日にも私の身に起こるかもしれない「死」の物語であり、私の家族や友人が直面するかもしれない「死」のあり方であったからである。
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